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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第165号       ’02−12−20★

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     恒産あり恒心なし

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●<師走>とは歳末、

 

単純にそう思ってました。 センセイと奉られている人も、年の暮れは

借金取りに追われ、金策に走り回る、師が走る、、だから師走、という

のは落語のマクラ。

 

念のため辞書で確かめると、<陰暦一二月の異名>。 これ<十二月>

なんだろうな、、?  自信の無さ、基礎教養の怪しさ、面目なし。

 

普段は「恒産無き者は恒心無し」とか澄まし顔で講釈していたであろう

センセイも、走り回る時はやはり、面目なし、と呟いていたに違いない。

 

 

昔、たいていの支払いは<掛け>(ツケ)で、その年の内に始末すべき

もの。 ところがあいにく手元不如意、、で、<掛け取り>に来た人を

はぐらかそうとする、その滑稽なやり取りの噺がいくつもありました。

 

そして何とか除夜の鐘にたどり着くことが出来れば、次の大晦日までの

一年、執行猶予、、 日本人の<先送り>癖には長い歴史があるのです。

銀行不良債権問題が容易に片付かないのは、きっとDNAの仕業、、

 

いや、古いのはかなり片付いたのだが、続々新規の不良債権が発生する

から、、 とも言いますが、<容易に片付かない>ことに変わりは無い。

銀行は昔から「晴れた日に傘を貸」すだけの商売、

 

「雨の日に取り上げる」のは習性です。 ただ雨降りがあまりにも長く、

取り上げる一方だったからソコソコの企業まで揺らいでしまい、<続々

新規が発生>。 一種の<スパイラル>、悪循環、輪廻、、

 

銀行トップの無能ぶりはサーモ屋の頃から聞いていた(第14号)ので、

今更驚きもガッカリもしませんが、そのトバッチリを被る人々やこの国

の将来を想って暗澹たらざるを得ません。 

 

*   *

 

過日のNHKクローズアップ現代<超高層ビル乱立 〜オフィスに何が

起きているのか〜>は、<恒産>が<恒心>を乱す憂鬱な輪廻話。

 

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●ろくな話題が無い中、

 

平日7、8万人、休日には10万人もの人が集まる盛況、と伝えられて

いるのが新築の丸ビル。 グルメや高級品漁りの女性客が列をなす風景、

無駄遣い絶対反対の隠居には亡国的現象と映りますが、

 

丸ビル側は「都市再開発の新しいモデル」と称して胸を張っております。

今までも買い物や食事の出来るビルなど珍しくなかったのだから、どこ

が<新しい>のか、よく分からない。

 

敢えて<新しい>と言うなら、それはビジネスゾーン入居企業20社の

ラインアップにあるかも。 たとえば人材派遣会社、、

 

<人入れ稼業>が天下の丸ビルに収まる、など、昔は考えられなかった

ことでしょうから。 そしてその1社の移動で青山に、3フロア、1千

平方米の空きが生じ、ビル側はそれを埋めるべく別の企業を急いで呼び

込まねばならず、そのため今度は新宿に空いたスペースが生じ、、

 

 

需要と供給が適度に均衡している時期なら、そうした循環も良い刺激に

なり得たろうが、供給過剰の今は不安の連鎖反応。 すでに品川駅周辺、

来年は汐留や六本木、、

 

次々丸ビル級のがオープン、70万平方米のスペースが発生。 しかし

景況低迷でオフィス需要は低下の一途、この1年間でオフィス街は空室

率倍増、間もなく10%。 さあ、来年どうなる?

 

この<2003年問題>、Windows <2000年問題>のように期待?

を裏切る?ことは無さそう。 困るのは、どこにどう降りかかるか、も

知れず、従ってどう防ぐか、考えようも無いこと。

 

あの豪華絢爛、恵比寿ガーデン・プレースすら2フロア空いてしまった

由。 築僅か8年で「IT的リニューアルが必要かも知れない」と憮然。

 

そのくらいだから中小ビルの入居者確保は深刻。 空いては収入になら

ない、出て行かないでもらいたい、、は人情。 なら魚心に水心、賃料

を下げてもらいたい、、も人情。

 

ルポされた日本橋は築10年の8階建てビル。 坪35千円でスタート

したが、2年後たちまち3万円に切り下げざるを得なくなり、3年後は

25千円、5年後2万円、7年後は刻んで1万3千5百円、そして現在

さらに詰めて1万2千5百円、、 当然、

 

返済(30年)計画は大幅修正。 そして最近、ついに1フロア、出て

行かれてしまった。 空けば今どき、急には埋まらない。 すでに経営

努力は限界、やがては返済不能化、即ち新たな不良債権の発生、、

 

輪廻の無常は、同時に無情でもあります。

 

*   *

 

同じ中央区、丸ビルとは東京駅を挟んで反対側一帯のオフィス・ビル街

は、中小かつ老朽化のため入居者の流出甚だしく、就労人口10万人減。

 

区が再開発案を持ち出しているが、この時期これからでは十分な入居者

が得られまい、とビル経営者たち、あまり乗り気でない。 ほかの経営

資源と違って<不動産>、持ち寄ることも出来ませんしね、、 困った。

 

それに、このルポで初めて知りましたが、役人たちはビルの建設に関連

してずいぶん色々な<計画>を立てて来たんですな。 92年には容積

適正配分型地区計画、95年には町並み誘導型地区計画、

 

97年は高層住居誘導地区計画、98年は連担建築物設計制度、00年

は特例容積率適用区域制度、02年は都市再生緊急整備地域/45地域、、

 

こう無計画に次々打ち出される<計画>は、すべて<バブル期に買って

不良債権化した土地を早く処分したい>がための<ハードルを低くする

操作>で政治的圧力の成果、、 という説もある。

 

加わえて<容積率の緩和>。 土地の利用価値を高めるため、だそうだ

が、たとえば汐留地区は92年当時の規制では準工業地400%、それ

を国鉄精算事業団が利用計画の作り直しで商業地に改め、一挙800%。

さらに敷地一部を公共用途に提供することで<1200%>とし、高く

売った由。 価値の創造、でしょうかね。

 

そして97年、建築基準法と都市計画法の<改正>で、余った容積率が

隣接地にあれば<譲れる>ことになり、たとえば東京駅上空<空中権>

は資産価値500億円。 近隣3ビルに分けて売るという、無から有。

 

前記<都市再生緊急整備地域>とは、この容積率緩和を全国45地域に

広めて行くための指定で、政府は<都市再生本部>を設け、、 という

政治がらみなので、<バブル時代を上回る建設ラッシュ>の中身は必然

的に巨大プロジェクトばかり。

 

かくて中小ビル経営は、近所に強力なスーパーが出来て客足パッタリと

なった商店街、みたいな状況。 対抗も挽回も、まず不可能です。

 

銀行の熱心な勧めで借りた金、ビルが出来上がった時はさぞ嬉しかった

ことだろう、<恒産>を得た、と。 しかしそのため、かえって恒心が

持てなくなってしまうとは、、 孟子様も愕然、でしょうな。

 

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●父親譲りの名古屋人気質、

 

サーモ屋は借金大嫌い。 しかし鉄骨スレート張りの工場は隙間だらけ、

室温不安定、品質の安定も得にくい。 そりゃ顧客のためにならない、、

で、清水の舞台からエイヤ!

 

融資を仰いで土地を買い、鉄筋コンクリート4階の新工場を建てました。

その竣工式で銀行屋が言ったのも「もうこれでご安心ですね、、」。

 

トンデモナイ、借用証文に見えます、と答え、以後、早く返そうの一念。

社員の給与は水準以上だが自分のは極力控え、むろん役員賞与も配当も

取らず、ついでに休みもろくに取らず、幸い追い風に恵まれて 

 

Y県にも工場を新設。 当時の巨人軍は<ツー・プラトン・システム>、

我が社も2ライン、これなら<東京直下地震>説が的中しても顧客への

供給が停止することは無い、、

 

Rational Process には未だ無縁でしたが、私なりにPPAは実践して

いたわけです。 備えあれば憂いなし、憂いが無いから存分に働ける、

働くから借金も早々完済、、 という輪廻でしたな、私のは。 しかし、

 

 

それほどツキに恵まれながらも、あまり長いスパンの計画は立てる気に

なりませんでした。 「1年先が読めない我が国で、、」が口癖、米国

E社との提携話を蹴ったのもそれ故。

 

何せ彼ら、5-year-forecast にエラクご執心。 冗談言うな、占い師

も5年先は読めまい。 それを出せば、各年度、各四半期、と区切って

出さなくてはならなくなる。 当然その時々、現実はカケハナレる、、、

 

と、総本山は説明を求めてくる。 その回答作成に手間がかかり、、で

競合日本TIの連中はいつも夜おそくまで残業。 何たるエネルギーの

浪費! 直輸入アチラ風はこの国に馴染まない、の一例でもありました。

 

ビル経営で<30年>返済は普通なのかも知れませんが、いや個人住宅

でも<二世代ローン>てのがありましたが、私の性分では乗れませんな。

乗った人たち、そこまで一本調子で行けると予測したんでしょうかね?

 

*   *

 

しかしこの国、<近い将来、現在の住宅地総面積に匹敵する83万ha

の農地が都市的土地利用への転換を迫られ、一方、少子化で人口減、、、

工場用地の需要も増えず>従って地価は上がるまい、、と聞けば誰でも

頷くでしょう。 尤も

 

そこには<The questionable 農水省>がからむので<2003年問題>

ほど確かではないが、占いよりは確実。 不動産は文字通りの<恒産>、

それを我がものとする喜びや誇りがあって当然ですが、

 

時に<動きの取れない資産>、不安の時限爆弾。 長いローンを抱えた

人も、相続税に直面する人も<恒心>どころでないこと、前記中小ビル

経営者たちと同様でしょう。 Rational Process で挽回策? さあて、

お役に立てるかどうか、、、

 

*   *   *

 

意思<決定>と言えば<決定的>に響きますが、ドラッカー教授の定義

でも<複数案の中からの Choice>、どれにするのが良いのかな? と

理屈をこねる段階。 Rational Process、大いに結構。 しかしそれを

 

やろう! と実行に移すのは<決断>。 もう理屈は越えて、<運>が

支配する段階です。 そして運は無限でなく、尽きることがある、、 

 

金を借りよう、ビルを建てよう、までは成功。 しかしその先、時の運

が無かった。 たとえPPAしていたとしても、基になるのは在来知識。

しかし規制緩和や法改正は<在来>外、盛り込みようが無かった、、

 

そのPPA、たいして役立たなかったでしょう。 そういう見当の付き

にくい時代に巡り合わせてしまったのは、、 やはり運勢としか、、

 

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理系のくせに非科学的な、と元講師、オノレに首を傾げつつの師走です。

                          ■竹島元一■

    ■今週の<私の写真集から>は ★銀座圧縮★

 

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